2012年01月16日

行動経済学の観点をチーム組織の行動変容に活用する

日経新聞1月16日(月)の『経済教室』に、とても興味深い論考が掲載されています。
これは、チーム行動に変化を生み出したいと考えているリーダーや、組織を取り巻く状況が大きく変化する中で社員の行動ベクトルを転換させる必要に迫られているマネージャーの皆様にとって、非常に有効な観点です。とてもわかりやすい論考ですので、今回ご紹介してみたいと思います。
経済全体の価格や産出量の動きの描写には有効な伝統的経済学が、個々の人々の行動の説明が合理的に行えない限界から、行動経済学をもとにそれを解明する有効性について論じています。

重要な基本説明部分を引用してみますね。
「伝統的経済学では、人々は得られる情報をすべて用いて自分の満足度を最大にする選択肢を選ぶと想定するので、デフォルトが何であっても選ばれる選択肢には違いがないとされてきた。・・・行動経済学では、人間行動に限られた時間の中で直感的に意思決定する特性があるとされる。特によく知られるのがデフォルト(初期設定)、つまり選択肢の中で最初に設定されていた回答を選ぶという無意識のクセを伴う影響だ。人々はいくつかの選択肢を与えられると、デフォルト以外のものを選ぶことが少ない。」
この論点の典型例として臓器移植ドナー制度の例が掲載されています。ドナーへの同意が8割以上の国は明示的に拒否していないと自動的にドナーに登録する制度になっている国、この比率が3割以下の国は明示的同意がないとドナー登録がなされない国だった・・・。日本人にとってはこうした状況は会議などでよく見られますね。ベースとなっているものとは自分は異なるという見解を表だってその場で表明することは避けたがります。後で聞くと、自分はホントは反対だったんだけどね…という言葉が出てきたりするのはそ同じような状況です。
こうした行動経済学の考え方は、わたしがお薦めしているEQマネジメントの有効性と通じるものがあります。チームメンバーの一人ひとりが自分の行動を論理的合理的に考えればそう行動すべきだとわかるはずなのに、なかなかその行動につながらない・・・こうした状況は、チームマネジメントだけではなく、組織全体のマネジメントにも同じような現象が見られることがあります。

この論考でも記載されている「損失回避」行動もその一つです。
わたしたちは、「快」が多いよりも「痛」が多いほうを避ける傾向があります。例えば、コインの裏表ゲームで2つのゲームがあるとします。一つは、表が出たら5千円獲得、裏が出たら0円というルール。もう一つは、表が出たら3万円獲得、しかし裏が出たら1万円を差し出さなければならないルール。一つ目のゲームの期待値はプラス2500円。二つ目のゲームの期待値は、プラス1万円! でも、多くの人が、最初のゲームを選ぶのではないでしょか。損失は絶対にない…つまり「痛」は確実に回避できるという点です。

※論考のキーワード解説・・・「同額の損失と利得では、損失による満足度の低下の方が、利得による満足度増加より大きいこと。同理論では、同じ大きさでは、損失の方が、利得の2.5倍大きく感じられる」。

行動経済学のこの「人間行動に限られた時間の中で直感的に意思決定する特性がある」という部分、EQマネジメントの考え方でもとても重視しています。

頭では分かっているが行動できない場合、望ましい行動へのきっかけを創ったり、行動の手助けをする情報提供の仕方やコミュニケーションの方法、チーム行動規範やルール等仕組みを、EQの観点を活用した上で展開していけば、チームや組織にとって望ましい行動を促進し、経営課題の解決につなげることができるでしょう。
posted by FUJICO at 12:02| EQマネジメント
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