2011年01月26日

「このままではもたない」とわかっているのに?

週末の新聞で、ちょっと注目したいコラムを見つけました。
毎日新聞の『経済観測』というコラム。
東レ経営研究所特別顧問 佐々木常夫氏が執筆されています。
このときのタイトルは「財政破綻」・・・

出だしを少し引用してみますね。
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201X年、日本の財政が破綻し国際通貨基金(IMF)の管理下
に入った。公的年金は25%カットされ、公務員は、国・地方
自治体とも2〜3割の削減。消費税は10%から20%に跳ね上が
った。所得税や消費税もアップし、多くの国民が公共料金や
ローンの支払いを滞らせるなど、日本は未曾有の過酷な事態に
陥った。ちょっと大げさな想定であるが、今のままではいずれ
これに近いことが起こるだろう。
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こうした状況が目前であることは、多くの方がすでに感じて
いることだと思います。

そして、ここからが、特に注目していただきたい引用箇所です。
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今や日本の国・地方の借金はGDPの2倍の1000兆円に近づいた。
〜(中略)〜これ以上増えたらいずれ悲劇は訪れる。
太平洋戦争の末期、次々と日本軍が米軍に破れ始めた段階で
戦況を知り得た人は、日本の敗戦が分かっていた。それなの
に戦争を終結することが出来なかった。歴史家はなぜこの
ような愚かしいことが起こったのかと嘆く。日本の財政も
同じである。誰もが「このままではもたない」とわかって
いるが、止めることができない。この愚かしさは一体何なのか。
経済同友会などは消費税を17%にしろと言う。そのような
話なら誰でも言える。しかし実行できない。イギリスなどは
必死に財政破綻を回避すべく、痛みを伴う改革をしている。
なぜ日本はできないのだろう。(後略)」
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少子高齢化の問題、これから団塊世代が65歳を迎え年金支給
を受けることによる支出大幅増大の現実・・・

平成22年版高齢社会白書では、生産年齢人口(15〜64歳)が、
2010年の8,128万人から、2055年には4,595万人へと半減して
しまいます。

生産年齢人口が半減して誰が今の納税規模を維持するのか?
と普通は疑問に思いますよね。

白書では、高齢者の支え手を 15〜69歳と想定していますが、
15歳〜22歳は学生もかなり多いわけですから、就業し支え手
としてすべてをカウントできません。さらに、69歳までを
支え手とするということは、年金支給をそこまで伸ばす予定
だということでしょう。

そうやって、70歳以上を高齢人口として計算してもなお、
70歳以上の高齢人口 1 人に対して、15〜69歳の年齢で
みた生産年齢人口 1.7 人(!)というすごい比率なのです。

こうした現実が目の前に迫っています。
これは国家財政についての観点ですが、実はもっと近くの
状況を見ても、実は同じ現象が見受けられます。
たとえば、こんなのはどうでしょう?

人は、このままではいずれ自分の健康が損なわれ、破綻する
ということが薄々わかりながらも、本当に倒れてしまうまで
今の自分の行動パターンや状況を変えられない・・・

または、
会社が、このままではいずれ行き詰まり、破綻するという
ことが薄々わかりながらも、本当に資金破綻してしまうまで
今の(自分の)経営スタイルを変えられない・・・

こうした状況について、常に自問自答し、具体的な行動を
起こせるのは自分自身しかいません。

佐々木常夫氏のコラムを参考に、自分を取り巻く状況に
置き換えて行動していきたいと、私自身も考えています。

『「このままではもたない」と自分ではわかっている?
 そうであれば、破綻を回避するには?
 破綻が現実のものとなる前に変えるリミットは?
 自らを生かすのに痛みを伴うとき、どうする?
 実現させるための行動とは?』


それでは、また来週!

フジコーポレーション株式会社
ファシリテーター(企業変革人材養成サポーター)
加 藤

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posted by FUJICO at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | リーダーシップ論

2011年01月19日

ストレッチできる大切な“とき”とは?

最近は、ビジネスノウハウものを少し離れて、人の本質や、
ものごとの道理、節度、自分自身で結論を導く生き方自体
を考える時間を持つようにしてみています。

いろいろ探してみているのですが、
やっぱり・・・というか、この本に今たどりついています。

江戸時代中期(1716年ごろ)に、肥前国鍋島藩藩士、山本常朝
が武士としての心得・見解を「武士道」という用語で説明した
記録として残され書籍になった『葉隠』です。

山本常朝自身が書いたのではなく、彼の隠居後に、
訪ねてきていた同藩士:田代陣基に口述したものを
田代陣基が筆録し、それが伝えられてきたものですね。
哲学・文化・教養など論点は多岐にわたり、なんと
項目数は1343項、全11巻!

とてもすべてを読むことはできず、まずは「名言抄」
からチャレンジしています。

人の本質や、ものごとの道理について、あるはあるは・・・

私達にとって身近な観点のものを、少しご紹介してみますね。
(『葉隠』名言抄 笠原伸夫訳 新潮文庫より)
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「世に聖者といわれる人は、十五歳ほどで学問に志した
 ところが、すなわち聖人のゆえんなのである。
 のちのち修行をされて、聖人になられたのではない。」
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これは、年齢という部分もそうなのでしょうが、最初に
志を立てたときに、正しい悟りを持つことができるという
観点が着目ポイントですね。

次はどうでしょう・・・
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精進して定見などできると、もうそれで終わったと早合点
してしまうからだめなのだ。精進に精進をかさねて、まず
基本的なことだけはしっかり自分のものとし、やがてそれ
が成熟するように心がけて修行することである。
とにかく修行は一生やめてはいけない。自分で見出した
ぐらいのものをもって、これでもうよいと思うことなど、
とんでもない話だ。あれもこれもまだまだと思って、
どうしたら真実を発見できるだろうかと、一生それをさがし
求め、心から修行すべきなのである。
こうした修行のうちにこそ、つまりは真の道理といったもの
が見いだされるのである。
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ちょっと長いのですが、私自身、立ち返って、今の程度で
満足していちゃだめだな・・・もっと進化できる! と、
自分を奮い立たせるに十分な一文です。

成果を継続的に生み出している皆さんは、今たどりついて
いる定見などに満足せず、もうこれでよい…というような
終わりにしていないことと思います。

最後にもう一つだけ。これもなかなかイケてます。
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年齢も三十を過ぎた者には、教訓をしてくれる人もいない。
教訓されることもまったくなくなり、わがままになるから、
一生愚行をかさね、つまらぬことをかさねていってだめに
なるのである。
だから、道理を知っている人には、なんとかなれ親しんで、
教訓を受ける必要があろうというものだ。
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私のこれまでの経験・体験では、年齢が四十半ばを過ぎると
まさに上記のような状態になってしまっている方をよく拝見
します。五十を越えるとなおさらです。

もちろん、五十を越えても志高く、真の道理を見出すべく
精進を続け、キラキラと輝き続ける方もいらっしゃいます
が、その数は激減していきます。

二十代〜三十代半ばまでの時期に、道理を知っている人に
出会い、自分をストレッチするチャンスを逃さないこと
がとても大切だと強く感じています。

多少苦しくても、この時期が、自分自身の生命力や、
戦い抜く力、生き抜く力を培う大切な“とき”だと
いえるでしょう。

それでは、また来週!

フジコーポレーション株式会社
ファシリテーター(企業変革人材養成サポーター)
加 藤

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2011年01月12日

「憧れは天馬博士!」から始まった!

年の初めというのは、
今年1年を展望したり、自分の想いを新たにしたりするのに
ちょうどよい機会ですね。

こうした機会を、そのまま何もせずに流してしまわず、
立ち止まって自分と向き合って確認するというのは、
自分のポテンシャルを導出する上でとても大切なアクション
だと思います。

ちょうど、6日のカンブリア宮殿は、そうしたよい機会
にすることができるテーマで放送されていましたね。

タイトルは、「ニッポン人よ、大志を抱け!」でした。

ゲストとして3名の方が登場されました。

◆未来ロボット技術研究センター所長 
 古田貴之氏(42歳)

◆「ポタジエ」オーナーパティシエ 
 柿沢安耶氏(33歳)

◆銀河鉄道(世界一小さいバス会社)社長 
 山本宏昭氏(47歳)

どなたも、自分の目指すものに向かって歩み、夢を実現
させた方で、お話から多くの気付きを頂きました。

私は、特に、古田貴之氏の言葉が強く印象に残りました。
古田氏は、7年前、35歳という若さで、千葉工業大学
傘下の未来ロボット技術研究センターの所長に抜擢され
ました。数々の国家プロジェクトにも関わってきている
若手No1のロボットクリエーターです。

子供のとき見た鉄腕アトムがきっかけですが、
そのとき、アトムになりたいと思ったのは一瞬で、
それよりもアトムを作った天馬博士(ロボット博士)
になりたいと夢見たところがすでにユニークです!

ところが、中学時代に脊髄の大病を患い、余命8年と
宣告されてしまいます。その後、奇跡的に回復し、
その車椅子に頼った不自由な経験から、「不自由な
ものを不自由でなくする」という独自のロボット開発
にさらに想いを深めていったのです。

古田氏が番組で話した次のような言葉。
ものすごく共感します。

「プラモデルを作るだけではロボットの博士になれない
 と思った。本当に自分が作りたいロボットを実現する
 ためには、何が必要だろうと考えました。すると、
 まずは設計図の書き方をきちんと勉強して、自分の
 中で構造を考えて、ないものを作れるようにならない
 といけない。それで、設計図の書き方を勉強して、
 ものを作りだしたのが始まり。
 すべて、私は出来るかできないかではなくて、
 どうしたら出来るようになるかを考えるのが重要だ
 と思っていて、いつも本質を見ていたいと考えています。」
 
「ロボットを作るのに必要な学問を順番に修めていくの
 ではなくて、まず作る。いつかやろうではダメなんです。
 人生けっこう短いですから、まずはやれることを、今すぐ
 やるんです。そこを突破口として開いていってどんどん
 深いところへ入っていくんです。」
 
「今の自分で出来ることだけをやろうとするとできません。
 人は、難しいことをやろうとすると、できない理由を
 自分で一生懸命考えて納得させるんです。実はこれが
 やりたいことを実現させる上での一番の敵です。」
 
「まず、できるかどうかではないんです。どうしたら
 できるようになるか。だからロボットを作るためには
 何が必要か・・・電気と機械とコンピュータ、学問だ
 なと思ったので、一つひとつ計画を立てて、しかも、
 それがいつできるのかを見積もってやっていくこと。」
 
私自身もいつも自分の旨としている考え方でしたので、
大変共感して見ていました。

さらに、面白いエピソードのお話がありました。

村上龍が「昔からそういう人だったんですか?」と
古田氏に聞いたとき、即座に、

「昔からそうでした、きっかけは3歳のときです。
 私はインドに親の仕事の関係で行っていまして、
 そのとき近くのお坊さんから、
 『ものごとには本質がある。何が本質かを見て、
  どうしたら本質をつけるのかを考えなさい。』と
 教えを受けました。」

村上 龍「3歳の子どもに? すごい人ですね!」
小池栄子「そのとき、言っていること、わかりました?」

「わかりました。
 行くとお供えのバナナやリンゴをもらえるのですが、
 どうしてこれもらって嬉しい?と問われました。
 食べられるからという以上にその気持ちが嬉しいの
 でしょう。目に見えるものがすべてではないよ、
 と言われました。」
 
「私は常にやりたいことから逆算するようにしています。
 夢は、自分の大目標のゴールであって、それを実現
 させるしっかりした術がないと、ただの幻です。
 実現させるための術を真剣に考え実現させるのです。」
 
まさに、新年の自分の想いを新たに確認する上で、
非常に有益な観点だと思います。

私も今まさに、ある目標を実現させる術に着手しています。
皆さんも目指すことを実現させるしっかりした術
・・・設計されていますか?

改めて新年にあたって想いを確認してみていただけたらと思います。
それでは、本年もよろしくお願いいたします!

【参考】
 上記のカンブリア宮殿での古田氏の言葉は、以下の
 公式HPにて動画を見ることができます!
 下記のURLで、「#4 ロボットで社会を変えたい!」の
 動画内にて確認できます。
 http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/dogatch.html

2011年01月05日

年3%の積み重ねの差 ご存じですか?

新年明けましておめでとうございます。

年初ということで、企業トップの皆様のお話を、直接、
または間接的に学ぶことが多いときですね。

私もある企業トップの方から伺った興味深いお話をもとに
私なりにそれを分解、発展させてみたお話をしたいと想い
ます。

自分の力を「1」という数字に置き換えたとします。

自分の持っている力を伸張させるべく、毎年、3%ずつ
自分の力を着実にストレッチして伸ばしていった人と、
自分の持っている力を発揮するのを3%くらい怠けて
仕事に向かったとした場合の10年後、20年後、
30年後の違いがどれくらいになるか・・・という
設定で考えてみると、非常に面白い結果が出ます。

毎年、「1」の力を10年間、20年間、30年間
伸張させることなく歩んだ場合は、ずっと「1」の
ままの状態です。

そして、そして・・・

毎年、3%だけ自分の力をストレッチし続けた人は、

10年後は、1.03の10乗=1.34
20年後は、1.03の20乗=1.81
30年後は、1.03の30乗=2.43

という驚くべき伸張結果となります。
なんと、2.5倍近い力にまで伸張するのです!

ところが・・・

毎年、少し怠けて自分の力を伸ばすことを怠り、
3%ほど、自分の力を下げてしまった人は、

10年後は、0.97の10乗=0.74
20年後は、0.97の20乗=0.54
30年後は、0.97の30乗=0.40

という驚くべき低落結果となります。
なんと、半分以下のレベルにまで低下してしまうのです!

だから、20代にあれほど血気盛んに奮闘していたのに、
50代半ばの今、生彩のない仕事ぶりになってしまって
いるという状況が起こりうるわけです。

いかに、少しずつでもよいので、自分の力を意識して
ストレッチさせていくことが大切かということがこの
数字から確認できると思います。

2011年の今年、これまでの成功体験に基づくやり方
では変化を生み出すことは難しい状況が続きます。

私自身も3年先を見通した展望をすでに設計し、その
準備に着手していますが、ワールドワイドでの市場環境
に向き合うことが不可欠な年度だと思います。

企業の変化を生みだし、新しい価値創出をリードする
人材を育成する最も重要なタイミングとなっていると
感じています。

今年も、企業の変化と新しい価値創出を目指す経営者と
その最前線の重要な役割を担うリーダー育成を応援して
参ります。

これからもぜひ一緒に新しい時代を創っていきましょう!

新しい時代を創っていく強い意志をもったさまざまな
コラボレーションを開拓し、道なき道を一緒に創って
いく同志を募集中です。

今年もよろしくお願いいたします。

フジコーポレーション株式会社
ファシリテーター(企業変革人材養成サポーター)
加 藤
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